2763.今日の植物(2246):コウゾリナ
コウゾリナはキク科 Picris 属(コウゾリナ属)の植物で、The Plant Listでは73の種を擁する属だということです。
ウイキペディアの情報によりますと、この属の植物はヨーロッパ、アジア、アフリカやオーストラリアなど広い地域に分布している植物だということで、Lepidopteraという蝶の仲間の幼虫が食用にする植物だということです。
属名のPicris はギリシャ語のpicros(苦いという意味を持っているそうです)由来で、この属の植物には苦い味を持っていることからこの名前になったようです。
切手に描かれている植物の種名は、ATA(American Topical Association)という郵趣団体が発行している植物切手に関する情報によればPicris Saharaeだとされていましたが、いつも頼りのThe Plant Listではこの種はPicris asplenioides subsp. Saharaeの同義だとされておりました。Plant of the World on Lineという情報でも同じく同義とされていましてので、ここは両方の情報に従って、Picris asplenioides subsp. Saharaeとしましょう。
そのPlant of the World on Lineによりますと、Picris asplenioides subsp. Saharae種は白い花の写真が添えられて自生の範囲はアフリカ 北西部だとなっています。一方、Picris asplenioides種は黄色い花を持ち、自生の範囲も北アフリカからイスラエル、アラビア半島と広くなっております。こちらの方が切手の図や分布についても近いようにも思われ、悩ましいところです。
ということですが、ここは両方の情報に従って、Picris asplenioides subsp. Saharae種としておきます。
コウゾリナといいますと、このブログではブタナという植物がエゾコウゾリナという属名で登場していました。
コウゾリナは漢字で書くと「顔剃菜」で、葉を肌に当てると髭剃りのような感触からこの名前になったということです。
写真です。悩みの2つの種の写真です。
(左)ピクリス・アスプレニオイデスの亜種 Picris asplenioides subsp. Saharae
(右)Picris asplenioides
切手です。
引き続いてのクウエート発行の普通切手のセットなのですが、このセットに含まれていて初めて登場する属は今回で最後になります。それにしても多くの新しい植物を取り上げてくれたものだと、改めて驚いています。他の地域ではあまりなじみのない乾燥地の野生の植物を取り上げたことが背景にあると思いますが、このような取り上げ方はいいですね。
ピクリス・アスプレニオイデスの亜種 Picris asplenioides subsp. Saharae
1983年 クウエート発行(普通切手)
●最後になりますが、一緒に発行されたセットです。⇒切手植物図鑑
2762.今日の植物(2245):イヌスイバ
イヌスイバは、タデ科 Emex属(イヌスイバ属)の植物で、The Plant ListにはEmex属の植物として2つの種が挙げてありました。 きわめて小さな属ということになります。
ですが、ウイキペディアで検索してみますと、Emex 属はRumex属(スイバ属)と同義だとされ、そのRumex属は200もの種を擁する大きな植物群だとされています。
双方の見解の違いをウイキペディアで説明してありました。 それによりますと、最初、Rumex属が1753年にリンネ氏によって報告がなされたのだそうです。 その際には、多分、現在Emex 属に分類される2つの種もこれに含まれていたものと考えられます。
その後1819年に、Emex 属は同じ個体に両性花と単性花の両方を持つものとしてRumex属とは分離されたのだそうです。
しかしRumex属に分類される種の中にも同じ特徴を持つものがあることがわかり、さらにEmex 属の特徴とされるほかの項目もRumex属の種の中にもあることもわかり、その結果Emex はRumex 属の亜属とみなされ るようになったということのようです。
しかし、いつも頼りのThe Plant Listはこの最後の変化を受け入れていないようで、Rumex spinosusをEmex spinosaの同義としています。
ということで、このブログではThe Plant Listに準拠してきましたので、Emex 属の植物として取り扱います。
前置きが長くなりましたが、切手に描かれているEmex spinosa種は、普通にはdevil's thorn(悪魔の棘)と呼ばれているそうです。 もともとは地球の温暖な地域に自生していたのですが、人の活動範囲が拡大することに伴って、分布範囲を広げてきました。 荒れた特に塩分の強い環境に多く見られるということです。
上に記しましたように、同じ個体に雄花、雌花の両方をつけるのだそうです。 また葉や根は苦みがあるけれども食用になるという情報もありました。
写真です。 The Plant ListでEmex属に分類されている2つの種です。
イヌスイバ Emex spinosa
●和名のイヌスイバは、「役に立たないスイバ」といった意味になりそうです。
種小名のspinosaは「棘のある」という意味ですから、この種子の形状から命名されたのかもしれません。
エメクス・アウストラリス Emex australis
切手です。
イヌスイバ Emex spinosa
1983年 クウエート発行(普通切手)
●一緒に発行されたセットはこちらです。 ⇒切手植物図鑑
2761.今日の植物(2244):アルネビア
アルネビアは、ムラサキ科 Arnebia hispidissima属(アルネビア属)の植物で、The Plant Listでは、42の種が挙げてありました。
ウイキペディアの情報によりますと、この属の植物はそのほとんどがアジアに分布し、その他の限られた種が北米の乾燥した地域に分布しているということです。
切手に描かれているArnebia decumbens種についてウイキペディアに情報がありました。それによりますと、この種は、ヨーロッパと中央アジア、斗南アジアに自生しているということです。黄色い筒状の花を咲かせ、山岳地帯の斜面や荒れた砂地に生育しているようです。
一方Arnebia hispidissima種はアフリカ中央部、中東からインドに至る地域に分布しているようです。
また、Arnebia guttata種は、中央アジアからモンゴルに至る地域に分布する種のようです。花弁に紫色の斑点を持っていて、薬用にもなるという情報がありました。
写真です。切手に描かれている3つの種の写真がネットにありましたので、借用してきました。
(左)アルネビア・デクンベンス Arnebia decumbens
(中)アルネビア・グタータ Arnebia guttata
(右)アルネビア・ヒスピディッシマ Arnebia hispidissima
●種小名は、順に「横臥した」「斑紋がある」「剛毛がある」という意味です。
切手です。あまり馴染みのない植物ですが、3種が手元にありました。
(左)アルネビア・デクンベンス Arnebia decumbens
(中)アルネビア・グタータ Arnebia guttata
(右)アルネビア・ヒスピディッシマ Arnebia hispidissima
1983年 クウエート発行 2019年 モンゴル発行 2003年 バーレーン発行
(普通切手) (モンゴルの風景) (国際環境デー)
2760.今日の植物(2243):ギムナレナ
ギムナレナは、キク科 Gymnarrhena属(ギムナレナ属)の植物で、この属には切手に描かれているGymnarrhena micrantha種の1種だけが分類されるという、1属1種の植物です。
ウイキペディアの情報によりますと、そのGymnarrhena micrantha種は、北アフリカから中東の地域を原産地とする植物で、細いロゼット状の葉を持っています。乾燥した石の多い環境に生息する植物で、有毒だという情報もありました。
花を3月から4月にかけて咲かせるのですが、地中にも花(underground flowerhead)を持ち厳しい生育環境の中で生き延びることができるのだという情報もありました。
この植物は湾岸戦争の後に、風で砂が飛ばされタールで覆われた環境でも生育できる数少ない種だとされ、また銅や鉛を含むスラグの上でも生育しこれらの重金属を吸収蓄積することができるともされていました。
写真です。
ギムナレナ・ミクランサ Gymnarrhena micrantha
切手です。
ギムナレナ・ミクランサ Gymnarrhena micrantha
1983年 クウエート発行(普通切手)
2759.今日の植物(2242):アトラクティリス
(左)アトラクティリス・メルネフタエ Atractylis mernephthae
(右)アトラクティリス・グンミフェラ Atractylis gummifera
切手です。
アトラクティリス・メルネフタエ Atractylis mernephthae
1983年 クウエート発行(普通切手)
●一緒に発行されたセットはこちらです。⇒切手植物図鑑